一年中快適!全館空調のメリット・デメリットとは?
快適な住環境に必要なのは間取りや設備の充実、デザイン性だけではありません。一年を通して健康的に過ごせると人気を集めているのが、全館空調です。
新しく住宅を建てようと思っている人の中には、全館空調に興味を持っている人も多いのではないでしょうか?今回は全館空調の概要とメリット・デメリットについて解説します。
全館空調とは?
全館空調とはその名称のとおり、建物全体の空調を管理するシステムのことです。従来のほとんどの住宅や建物では、エアコンがあったり扇風機やストーブを設置したりと部屋ごとにバラバラでした。
全館空調では各部屋にエアコンを設置する必要がありません。たとえば小屋の裏側などに専用の空調設備を置き、住宅全体の空調を一括で管理。家の中の隅々まで張り巡る空気間を通じて、暖かい空気や冷たい空気が流れてきます。
また換気や空気洗浄といった役割も担い、24時間365日いつでもどこでも、快適な空気の中で生活できるものです。
全館空調のメリット
全館空調には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主なものを全部で4つ見ていきましょう。
家の中のすべての場所が快適な温度で保たれる
最も大きなメリットともいえるのが、家の中のすべての場所が快適な温度で保たれることです。家中すべての場所の温度や湿度を一括で管理できるため、どこにいても冬は暖かく、夏は涼しく過ごせるようになります。
従来型の個別空調では、たとえば冬場のリビングはエアコンで暖かく保たれていても、トイレやお風呂場、廊下などへ移動すると一気に室温が低下します。
夏場も同じです。エアコンで涼しい居室から外へ出ると、室温や湿度が上昇して不快感が表れます。全館空調を導入することで、家中どこにいても快適な温度で暮らせるようになるでしょう。
ヒートショックや熱中症を予防できる
とくに高齢者にとって注意が必要なのが、冬場のヒートショックと夏場の熱中症です。ヒートショックとは暖かい場所から寒い場所、寒い場所から暖かい場所へ移動した際の、急激な温度変化が脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な状態を招くものです。
冬に入浴する際、暖かいリビングから寒い脱衣所で衣類を脱いだり、寒い脱衣所や浴室から温かいお風呂に入ったりするときに発生しやすくなります。全館空調なら脱衣所や浴室も含めて、すべての場所の温度が一定に保たれます。
ヒートショックや熱中症などの予防に役立つはずです。
部屋がすっきりとしたデザインになる
3つ目のメリットは、部屋がすっきりとしたデザインに仕上がることです。
全館空調ではエアコンを室内に設置する必要がありません。エアコンを設置する必要がない分、部屋の天井や壁がすっきりとした印象になるでしょう。
生活感を出したくない人にもピッタリです。また扇風機やストーブも不要となるので、いちいち出し入れをしたり、掃除をしたりする手間も省けます。
換気や空気清浄も一緒にできる
全館空調の中には換気や、空気清浄システムが一緒になっているものも珍しくありません。
快適な温度をキープできるだけでなく、1年を通してきれいな空気の中で暮らせるようになります。ハウスダストや花粉で悩んでいる人にもおすすめです。また室内干しをしても、嫌な臭いが発生しません。
全館空調のデメリット
全館空調にメリットがあるということは、デメリットもあるということ。
デメリットもしっかり理解した上で、全館空調を導入するかどうかを検討するとよいでしょう。
初期コストがかかる
デメリットの一つ目が、初期コストがかかることです。
全館空調をするための本体代のほか、家中に張り巡らせるダクト代なども必要となります。一つの目安として40坪の住宅に全館空調を導入する際の費用は、約120万円です。
電気代は思ったよりもかかりません。エアコンはスイッチを入れた際に大きく電力を消費しますが、全館空調は基本的に常時作動させておきます。
そのためエアコンを頻繁にスイッチオン・オフするよりも、ずっとリーズナブルな料金になるでしょう。
部屋ごとの温度設定が難しい
全館空調はすべての部屋を、一定の温度で保てるもの。
一括管理となるため、部屋ごとの温度調整が困難です。同じ家族内で暑がりの人や寒がりの人がいると、それぞれで快適な室温で暮らせないかもしれません。
急激な温度調整が難しい
3つ目のデメリットは、急激な温度調整が難しいことです。
夏場の暑い外から帰ってきて、一気に室温を下げたいときや、反対に冬場の寒い外から帰ってきて、一気に室温を上げたいときなどには向いていません。
本体が故障すると家中の冷暖房システムがストップする
全館空調は一つの本体で空調を管理するため、本体が故障すると家中の冷暖房システムがストップします。
そのため定期的なメンテナンスが欠かせません。
全館空調は初期コストが必要となりますが、家の中のすべての場所が快適な温度で保たれる、ヒートショックや熱中症を予防できるといったメリットがたくさんあります。
冷暖房方式や価格はメーカーによって異なるため、一人ひとりのライフスタイルや予算と相談して検討するとよいでしょう。