UA値とは?地域ごとに異なる省エネ基準を解説
これから住宅を建てようと思っている人のほとんどが、「高性能の家づくり」を理想としているはずです。住宅に対してとくに何を求めるかは人によって異なりますが、大きな指標の一つとなるのが断熱性ではないでしょうか。
断熱性の高い住宅を建てるためには、UA値を理解することが大切です。
今回はUA値の概要と、省エネ基準について解説します。
UA値とは?小さいほど断熱性が高い
断熱性が高い住宅を建てようと思った際、必ず理解しておいてほしいのがUA値です。UA値とは「外皮平均熱貫流率」のこと。建物の内部にある熱量が、壁や屋根、床、通気口などを通って外へ逃げていく際の、エネルギー平均値のことを指します。
UA値が高いことは熱が逃げやすいということ、反対にUA値が低いことは熱が外部に逃げにくいということです。
断熱性が高いとは熱が外部に逃げにくい、つまりUA値が低いことといえるでしょう。数値が小さければ小さいほど、断熱性が高いということです。
断熱性が高いと冬は暖房で温かく、夏は冷房で涼しくなった室内が長時間保たれます。暖房効率・冷房効率が上がり、少ない電力で快適な環境が作られ、省エネにもつながるでしょう。
また寒い冬場でとくに注意が必要な、ヒートショック対策にもなります。ヒートショックとは急激な温度差が血圧変動を起こし、脳梗塞や心筋梗塞、大動脈解離といった命の関わる疾患を招く恐れのあるもの。
たとえば冬場の暖房が効いたリビングから入浴のために寒い脱衣所へ移動すると、血圧が上がります。脱衣所で衣類を脱いで浴室へ入ると、さらに血圧が上昇するでしょう。そして温かい浴槽につかると身体が温まり、一気に血圧が下がります。
東京都健康長寿医療センター研究所によると、平成27年度は年間1万7,000人もの人がヒートショックで亡くなっているとされています。断熱性が高い住宅を建てるためには、もちろん相応の初期コストが必要です。
しかし初期費用はかかったとしてもその後の毎月の冷暖房費は抑えられ、さらに子どもから高齢者まで、あらゆる年代の家族が健康で快適に過ごせる空間が手に入ります。
UA値の計算方法
UA値の計算方法は簡単です。
床や壁、天井、通気口などから失われる熱量を合計して、その数値を建物の外皮面積で割ると求められます。
求められた数値は、1m²あたりからどのくらいの熱が逃げたかを示しています。
UA値の省エネ基準
UA値は低ければ低いほど、断熱性に優れていると前述しました。
しかし日本でUA値を用いた住宅を建てる場合、住んでいる地域によってちょうどよい断熱性能は異なるはず。たとえば寒さが厳しい北海道と、冬でも比較的暖かい沖縄県とでは、ちょうどよいUA値は違ってきます。
日本全国を全部で8つのエリアに分け、それぞれのエリアで断熱性が優れているといわれるUA値が示されています。しかし現在日本ではさまざまなUA値の基準があり、それぞれで具体的な数値は異なります。
どの基準が優れている、劣っているということはありませんが、比較的ちょうどよい程度の基準となっているのが「ZEH(ゼッチ)基準」です。
ZEH基準とは太陽光発電で、消費エネルギーを増やしていこうと考える基準のこと。
たくさんある項目の中の一つに、UA値があります。北海道は0.4以下、青森県や岩手県といった北東北は0.5以下、その他の都道府県で沖縄県以外は0.6以下が基準値となっています。
沖縄県は一年を通して暖かい気候のため、UA値は示されていません。
UA値の基準を満たした住宅を建てるのがおすすめ
これから新築住宅を建てる際は、各都道府県のUA値基準を満たした家を建てるのがおすすめです。断熱性の高い新築住宅は、これからの日本における住宅のスタンダードになっていくことでしょう。
もちろん自宅のデザインや設備、間取りなども大切ですが、多くの人にとって長く住むことになる住宅では、健康面に配慮した快適さが欠かせません。断熱性の優れた家は高性能で、劣化速度が遅いといわれています。
大切な家をできるだけ長く、質を保って使っていくためにも、UA値に着目して建てることが大切です。
UA値を確認する方法
一般的に新築住宅を建てる際、住宅会社のカタログやホームページ上にUA値が記載されています。ただし建売り住宅でない場合は、UA値の希望を出せるので「UA値を0.5以下にしていただけますか?」などと直接聞いてみるとよいでしょう。
見積りの段階で希望のUA値を伝えておくことで、正確な費用がわかります。
注意しておきたいポイントが、住宅会社の営業担当スタッフなどにUA値を尋ねた際に、すぐに答えられないケース。自社住宅の断熱性を理解していないのは、完全にアウトです。
UA値とは断熱性の高さを示す基準のこと。数値が低ければ低いほど、断熱性に優れている住宅といえます。UA値の優れた住宅を建てることで冬は暖かさを、夏は涼しさをキープできるようになり、快適な住空間となるはずです。