ZEHとはどのような住宅?メリット・デメリットをそれぞれ確認!
ZEHという言葉を聞いたことがありますか?ZEHとはネットゼロエネルギーハウスの略で、一定の基準をクリアした省エネ性が高い住宅を指します。経済産業省は2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指すとしており、環境庁と連携して補助金支援などを毎年続けています。ZEHとは具体的にどのような住宅なのか解説します。
ZEHとはどのような住宅?
住宅をZEHの性能にするためには3つのステップが必要です。①建物の断熱性を上げる②エアコンなどの設備を省エネ性の高い認定品にする③発電設備を一定量以上搭載する、です。順番に解説します。
① 建物の断熱性を上げる
まず建物の断熱性能に関してとても細かい計算が必要になります。求められるのはエネルギー削減率20%。普通の家よりエネルギー消費が2割以上少なくないとZEHではないということです。計算方法もとても複雑で厳密です。熱が失われる量を床面積で割ったような従来の概算ではなく、外皮面積や開口面積をすべて計算した上で算出していきます。
② エアコンなどの設備を省エネ性の高い認定品にする
次に設備です。空調、給湯など、エネルギーをたくさん使用する設備は省エネ性の高いものを使う必要があります。とくにエアコンは認定品が決まっており、エネルギー計算の結果に関わらずZEH対応品しか使用できません。
③ 発電設備を一定量以上搭載する
建物、設備を意識的に設計すると省エネ性の高い住宅ができあがります。その住宅が使用する、電気やガスなどのわずかなエネルギーを超える発電設備を搭載したらZEHの完成です。いいかえると、ZEHはその家が使うエネルギー以上のエネルギーを自家発電する必要があります。
ZEH仕様の注文住宅を建てるメリット
ZEH住宅が推奨されるのはいうまでもなく環境問題のためです。ZEH事業はCO2削減、地球温暖化防止のために全世界で取り組まれている対策の一つになります。しかし、環境問題以外にもZEHの住宅を建てるメリットはあります。
① 補助金がもらえる
経済産業庁、環境庁がZEHに対して補助金を出しています。時期により条件は異なりますが、令和3年度はZEHで60万円、さらに性能の高いZEH+で105万円の補助金がありました。2030年までの普及を見越して今後も続いていくことが予想されます。
② 光熱費が安い
断熱性能が高く、省エネ性が高い設備を導入しているため、光熱費が安いです。また、太陽光の売電も合わせると年間を通して光熱費が実質ゼロに近いご家庭も少なくないはず。毎月の家計を助けてくれるのがZEHの一番のメリットです。
③ 身体に優しい
家全体の断熱性能が高いことでヒートショック等の体への負担を和らげることができます。洗面上で亡くなる方の数は交通事故で亡くなる方の数の4~5倍です。
④ 優遇措置がこれから増えることが予想される
今は未だ存在しませんが、税制面などでこれからZEH住宅への優遇措置が出てくる可能性があります。
ZEH仕様の注文住宅を建てるデメリット
ZEH仕様の住宅を建てるとメリットが多いですが、当然デメリットもあります。具体的には以下の4つが考えられます。
① 建築費用が高くなる
元々の断熱性能が低い家はZEH基準にするためにたくさんのグレードアップが必要です。床断熱、壁断熱、天井断熱、サッシ、給湯器、暖房器など、場合によっては数百万円のプラスということもありえます。
ローコストを売りにしている工務店はZEH仕様ができない会社もたくさんあるでしょう。ノウハウの問題もありますが、ZEH仕様にするとそもそもローコストという利点がなくなるからです。
② 間取りに制限がかかる
省エネ性能値を確保するためには当然ながら熱のロスが少ない間取りの方が有利です。大開口、吹き抜け、リビング階段などの間取りはエネルギー効率が低いため、ZEHには向かないケースもあります。
③ 屋根形状に制限がかかる
屋根の形状は本来デザインや機能面で計画したいところですが、太陽光を乗せやすい屋根面は切妻、片流れです。ZEHにするためには充分な太陽光発電パネルを乗せる屋根面積が必要なため、屋根形状の制約を受ける可能性があります。
④ 光熱費の定期報告が必要
ZEH補助金を受領した後は、半年に一度定期報告をしなければいけません。家庭の消費電力、発電力などの明細をとっておき、すべての数値を入力します。また、生活パターンを細かく申告し、国に生活データを提供する必要があります。
半年に一度、2年間の報告なので合計4回だけにはなりますが、質問内容が多いため60分くらい回答に時間がかかります。また、毎月に明細をとっておくのも少し手間がかかります。
これから建てる家はZEHがスタンダードになります。環境にやさしい建築は国をあげてのプロジェクトであり、世界的な重要課題でもあるためこの流れはまず間違いないでしょう。そのために国からの助成はこれからも続きそうですし、ZEH住宅が優遇されることも予想されます。
そもそもZEHは環境に優しいだけでなく、補助金がもらえて、光熱費が抑えられて、家の中が温かく、身体への負担も少ないので住む人にとってもメリットばかりです。家づくりへのこだわりは人それぞれ異なりますが、家計にも身体にも優しいZEHにこだわってみてはいかがでしょうか。